仕事に対する思い
2021/07/22
ある施設を尋ねた。
生き物を飼育している施設だ。
「こんにちは。暑い中ありがとうございます」
中から男性スタッフさんが満面の笑顔で迎えてくれた。
そして施設内について喜々として説明をしてくれる。
お客様が来てくれるのが嬉しくて仕方がない
という思いが伝わってくる。
手作りをした折り紙をプレゼントされた。
「若い方には『いいです』と言って断られるんですが
もらってくれて嬉しいです」
不器用な私には決して作れない逸品だ。
施設をひと周りして戻ってくると
先ほどのスタッフさんが
また中から出てきて外まで見送ってくれた。
「暑い中本当にありがとうございました」
「ありがとうございました」
感謝の気持ちが言い足りないかのように
「ありがとう」を重ねる。
入館時にもらった折り紙を再び手に取り眺めた。
仕事に対する思いと時間が丁寧に折り重ねられていた。

誉め言葉の受け取り方
2021/07/21
「暑いですね」が決まり文句になっている挨拶に
今年は更に
「ワクチン打ちました?」が加わった。
無理もない。
他人と触れ合うときの最大の関心ごとだろう。
さて
先日来、縁あってある島に来ている。
島人の性格はその島の歴史が大きく影響する。
ホテルのスタッフに
「説明がわかりやすいですね」
「いやいや」
笑いながらかぶりをふる。
他にも誉め言葉を言うと皆一様に
「いやいや」と謙遜する。
タクシーの運転手さんまでも
「近くてスミマセン。小銭は取っておいてください」
「いやいや」
きっちりとお釣りを返してくれた。
この島は遠く離れた江戸との交わりが深かったところである。
謙遜する美学が持ち込まれたのだろうか。
転じて私の生まれた四国も言ってみれば島である。
中でも高知は四国山脈に阻まれて江戸の美学は入りにくかったのか
誉められると
「ありがとう」と受け取る人が多いような気がする。
いや、決めつけてはいけないが
少なくとも私はそうである。
いずれの島も誉められると総じて笑顔になるのは間違いない。
一瞬でも元気になる。
誉め言葉はワクチンより免疫力を高める。

半歩先のサービス
2021/07/20
出張先のホテルに向かった。
フロントのフロアに足を1歩踏み入れた瞬間
スタッフの方が
「ご宿泊ですか」と出迎えに来てくれた。
これだけでホテルの第一印象はかなり良くなる。
「今、フロントスタッフが1名ですので
こちらでおかけになってお待ちください」
無駄に並ばせない心配りにも感動する。
待っている間、周辺地図を聞いてみた。
にこやかなだけでなく
とても分かりやすく説明をしてくれる彼女の職種は
このホテルのドアマンのようだ。
調子に乗って更に尋ねてみた。
「○○は何時までですか」
「閉館時間はわかりかねます。申し訳ございません」
それはそうだ
周辺施設の営業時間まで全て把握するのは難しい。
順番が来てチェックインの手続きを済ませると
先ほどの彼女が「7時半までだそうです」
何とチェックインをしている間に調べてくれたようだ。
本人の資質によるものか教育なのか
彼女の応対は半歩先を行くものだった。

最優先するのは何か
2021/07/19
お盆も近いことなのでお線香を買いに行った。
従業員教育も行き届いている大きな専門店だ。
閉店時間20分前
店員さんは夢中で清算や後片付けをしている。
挨拶も声掛けもない。
いつもは気持ちの良い応対をしてくれるのだが
今日はそれどころではないらしい。
閉店時間きっかりに帰りたいのであろう。
購入する品を差し出すと会計場所にいた二人の男性は
お互い譲り合うように受け取るのを一瞬ためらった。
会計より自分の作業を優先したかったようだ。
営業中に何を最優先するのかは誰しも答えは知っている。
しかし
完璧にできているかというとそうではない。
なぜお客様が来なくなったのか
周りの環境や時代のせいにすることが多い。
しかし
そのほとんどは自分の胸に手を当てて聞いた方が
正解はで出てくる。
帰り際すれ違った女性店員からも挨拶はなかった。
「私たちはお客様より帰り支度を優先しています」
今彼女が胸に手を当てると聞こえてくる答えだ。

オウム返し
2021/07/18
昨日はZOOmでのマンツーマンセミナーだった。
頑張る人と関わることができるのは
やはり嬉しいしできる限り応援したいものだ。
先日アジフライ、エビフライ等フライ物が食べたくなり
2駅隣の駅にある専門店に行った。
女性店員さんが注文を聞き隣の男性店員さんがレジ打ちをする。
合計金額を言われクレジット支払いをした。
「間違えていない?」
女性店員さんがレジを覗き込む。
どうやら数を多く入力したようだ。
さあ、そこからが大変。
なにせポイントカードは訂正しクレジットは一旦取り消し
と男性店員さんも慣れない作業に手が震えている。
「頑張れ!」と心で思いながらも
申しわけない気持ちになった。
間違えた分だけ余分に買ってあげたらよかった
現金で支払えばこうは煩雑にならなかったと
後悔の思いを巡らす。
聞き間違いはよくあるケースだ。
隣で商品を読み上げる場合は現物を見せながらか
聞いた方がオウム返しをすることで間違いは防げる。
面倒なようだが間違えてしまった場合
もっと時間を要することになる。

作業の目的
2021/07/17
昨日は事務作業のため小川町へ。
その後、本を調達するため神保町へ向かった。
日陰を選んで歩くも東京の夏は年々厳しくなる。
帰りはこのまま駅に向かうか
暑さしのぎにお茶でもするか
神保町は路地に入ると古い喫茶店が並んでいる。
「お二人様ですか」
店の前で植物に水やりをしていた女性が声をかけてきた。
その声に押されるように冷えた店に入った。
外観と違い店内は若いお客様ばかりだ。
私たちの後からも水やりの彼女の声に促されてか
お客様が次々入ってくる。
職場の作業にはそれぞれ目的がある。
植物の水やりもそうだ。
植物の手入れをする以外に
外から店を見ることと
お客様に声をかける目的がある。
じょうろを片手にお客様を呼び込む働きぶりに
店が長く続く理由を見た。

パーソナルスペース
2021/07/16
昨日は九州の2つの学校とつないでZOOm研修だった。
空間を超えてつながるありがたさを感じる。
話は変わるが
どうしても欲しい本があり本屋に行った。
私の目当ての本棚の前で立ち読みをしている男性がいた。
さりげなく棚に手を差し出した。
ちらっとこちらを見たが微動だにしない。
少し距離を詰めてみた。
根っこが生えたように動かない。
パーソナルスペースを行使するのはわかる。
そして「俺が先に来た」という
先着順の縄張り意識が強く働くのも理解する。
ほんの少し体をずらしてほしいがかなわない。
結局
欲しい本には手が届かずすごすごと本屋を後にした。
遠く九州の2か所に難なく届く時代でも
パーソナルスペースに遠慮して
ほんの数センチに届かない現実がある。
人と人は近いほど不便なものである。
だからこそ配慮が必要である。

覚える
2021/07/15
いつも同じ調剤薬局を利用する。
近所と言えば近所だがそこに行くまでに
3件の調剤薬局を通り越す。
そこの受付にいる女性の応対が素晴らしい。
いやみんな素晴らしい応対をしてくれるのだが
彼女は「飛び出して」きてくれるのだ。
実際にはカウンターの内側だが
身を乗り出して
「あっ、こんにちは」
処方箋を預け言われた時間に再び取りに行くのだが
その際も「飛び出して」きてくれる。
「はい、順番にお渡しします」
名前など名乗らなくてもちゃんと覚えていてくれる。
そう、ここで重要なのは
覚えていることが伝わってくることだ。
私は応対において「名前を覚える」ことは
最重要課題に挙げている。
覚え方についても講義・ワークを実施している。
そして
覚えたら覚えていることを伝えることだ。
「あそこの人は覚えていてくれる」
自分を認識してくれるのは嬉しいものだ。
3件の調剤薬局を超えていくほどの価値がある。

独り言と視線
2021/07/14
なぜか最近独り言が増えてきた。
「なぜか」・・・年のせいだろう。
作業工程を口にしていたり
花に話しかけたり
今のところ
周りに人がいるときはその兆候がないのでご安心いただきたい。
しかし
目線に遠慮がなくなる。
気になる人がいるとつい見てしまう。
失礼と思いながら何度も見てしまう。
これも年のせいだろう。
私は年上の人と仕事をすることが多かった。
年を重ねるにつれ
彼・彼女らは視線に遠慮がなくなっていった。
しかも振り返ってじっと見るときさえあった。
相手の気に障るんじゃないか
怒り出すのではないかいつもヒヤヒヤしたものだ。
今や自分がそうなっている。
「目は脳がむき出しになっている部分」と言われる。
「目は口ほどにものを言う」ともいうが
口は言っていいことと悪いことをコントロールできる。
目は雄弁でしかも正直だ。
他人の視線を気にするより
まずは自分の視線にご用心だ。

言葉の向く方向
2021/07/13
言葉は意識の方向を変える。
昨日ふと耳にした看護師さんの言葉。
痛みを訴え処置をしていて患者様に
「○○さん、以前より痛みの範囲が狭まりましたね」
「日ごろの頑張りの成果だと思います」
「さっきより顔色が良くなりましたね」
燦燦と降り注ぐプラスの言葉に
患者様は力を得て帰っていく。
別の患者様にドクターが治療を施している。
「先ほどと比べ痛みはどうですか」
「足のこの部分の痛みはどうですか」
あまり変化が感じられなかったのか患者様は答えを絞り出した。
「う~ん、楽になりました・・・と思いたいです」
何とも正直な答えにドクターは
「徐々に薬が効いてきますからね」
「でも、それも薬が効いている時間だけで夕方には
また痛みが戻るかもしれません」
ドクターは再び痛みが戻ることを予言した。
「はい」言葉少なにうなづく患者様に
「治療を続けるとだんだん良くなりますよ」
先ほどの白衣の天使が付け足した。

